台風による災害事例|過去に起こった台風被害を振り返る

「毎年台風シーズンになると大きな台風がやってくる。規模が大きい台風だと被害も大きくなってしまうだろう。過去にどのような被害があったのかを知れば、今後の台風対策に役立つかもしれない。」

このように考えている企業の防災担当者もいるでしょう。

過去の台風による災害事例を知るのは重要です。

どのような被害があったのかを知れば、対策を立てやすくなります。

特に規模の大きい台風となると、対策しなければ被害も大きくなってしまうでしょう。

この記事では、日本で起きた過去の台風による災害事例を紹介します。

昭和から平成、そして被害の大きかった項目別に台風事例を紹介します。

過去事例から予想されうる被害を想定し、台風が来る前に対策しましょう。

目次

過去の台風被害一覧表

台風名発生年死者数行方不明者数負傷者数
室戸台風1934年2,702人334人14,994人
枕崎台風1945年2,473人1,283人2,452人
伊勢湾台風1959年4,697人401人38,921人
台風第19号1991年40人左に含む131人
台風第18号2004年43人3人1,399人
東日本台風2019年107人3人384人
出典:気象庁|台風による災害の例

昭和の三大台風

昭和に、日本を襲った過去最大級の台風が3つ発生しました。

  1. 室戸台風(1934年)
  2. 枕崎台風(1945年)
  3. 伊勢湾台風(1959年)

3つの台風は『昭和の三大台風』と呼ばれています。

過去20年を振り返っても、最大級の被害を受けた台風です。

どのような被害をもたらしたのか、それぞれ紹介します。

室戸台風(1934年)

室戸台風は1934年9月21日に高知県室戸岬付近に上陸しました。

室戸岬で911.6hPaを観測し、当時の記録としてはもっとも低い海面気圧だったそうです。

高知県戸岬付近に上陸後、関西を縦断して北陸地方へ向かい、各地で被害が発生しました。

特に大阪府では、強風による建造物被害と大雨や高潮による浸水被害が発生しています。

この台風により起きた校舎の倒壊により、学校の先生や生徒が死亡する甚大な被害が起きました。

参考:デジタル台風:過去の台風災害・被害

室戸台風により受けた被害は、次のとおりです。

台風名室戸台風
発生年1934年
死者数2,702人
行方不明者数334人
負傷者数14,994人
出典:気象庁|台風による災害の例

枕崎台風(1945年)

枕崎台風は1945年9月17日に鹿児島県枕崎付近に上陸しました。

枕崎で最低海面気圧916.3hPaを記録し、当時の気象観測記録によると宮崎県細島で最大瞬間風速75.5m/sを記録するなど、雨の多さよりも風の強さが顕著な「風台風」タイプのようです。

枕崎台風が襲来した時期は、第二次世界大戦の終戦から1ヵ月ほどだったそうです。

戦争時の伐採で大雨に弱くなった山では、土砂災害が多発。

それにより、1945年8月6日に原爆被災を受けた直後の広島県では、甚大な被害を受けました。

参考:デジタル台風:過去の台風災害・被害

枕崎台風により受けた被害は、次のとおりです。

台風名枕崎台風
発生年1945年
死者数2,473人
行方不明者数1,283人
負傷者数2,452人
出典:気象庁|台風による災害の例

伊勢湾台風(1959年)

伊勢湾台風は1959年9月26日に和歌山県潮岬付近に上陸しました。

本州南海上で急速に発達し、衰えることなく本州を直撃して縦断。

特に伊勢湾では、台風の中心気圧の低さによって海面が吸い上げられました。

さらに、海水が強風で吹き寄せられる方向に湾が開いていたこともあり、記録的な高さの高潮が発生しています。

これによる愛知県の伊勢湾沿岸での被害が大きく、大規模な浸水によって3,000人以上の死者が発生する被害を受けました。

参考:デジタル台風:過去の台風災害・被害

伊勢湾台風により受けた被害は、次のとおりです。

台風名伊勢湾台風
発生年1959年
死者数4,697人
行方不明者数401人
負傷者数38,921人
出典:気象庁|台風による災害の例

平成に発生した災害規模の大きい台風

平成に発生した台風は『昭和の三大台風』ほどの死傷者は出ていません。

とはいえ平成にはいってからの台風被害としては、負傷者の多い台風被害が多く発生しています。

平成に発生した災害規模の大きい台風はどのような被害をもたらしたのか、それぞれ紹介します。

  1. 平成3年 台風第19号
  2. 平成16年 台風第18号
  3. 令和元年 東日本台風(第19号)

平成3年 台風第19号

台風19号は、1991年9月27日に強い勢力で長崎県佐世保市の南に上陸しました。

その後、加速しながら日本海を北東に進み、強い勢力で北海道渡島半島に再上陸し、28日千島近海で温帯低気圧に変わったようです。

非常に強い勢力を維持したまま北上したため、全国で猛烈な風となりました。

最大風速は那覇で最大瞬間風速50.1m/s、長崎県54.3m/s、広島県で58.9m/s、石川県で57.3m/s、青森県で53.9m/sを観測。

そのため全国で暴風による多数の死者や家屋の倒壊がありました。

また農業にも影響し、青森では収穫前のリンゴの落果、西日本では塩害による果樹等の枯死、さらには全国で森林の倒木被害など農林水産業が甚大な被害を受けています。

このほかにも送電施設に被害が生じたこともあり、広範囲で停電が発生。

塩風害により長期にわたる停電被害もありました。

参考:台風第19号 平成3年(1991年) 9月25日~9月28日

平成3年に発生した台風19号により受けた被害は、次のとおりです。

台風名台風18号
発生年2004年
死者数43人
行方不明者数3人
負傷者数1,399人
出典:気象庁|台風による災害の例

平成16年 台風第18号

台風18号は、2004年8月28日マーシャル諸島で発生し、9月5日に大型で非常に強い勢力で沖縄本島北部を通過しました。

日本海を加速しながら進んだ台風18号は、広島で60.2m/s、札幌で50.2m/sなど、沖縄地方、九州地方、中国地方、北海道地方では、これまでの記録を更新する最大瞬間風速50m/s以上の猛烈な風を観測。

非常に強い勢力の台風18号により、建物の損壊や倒木被害が各地で発生しました。

また転倒や飛散物の落下により、多くの負傷者を出しています。

西日本においては、船舶の乗揚げ事故が相次いで発生しました。

参考:台風第18号 平成16年(2004年) 9月4日~9月8日

平成16年に発生した台風18号により受けた被害は、次のとおりです。

台風名台風第18号
発生年2004年
死者数43人
行方不明者数3人
負傷者数1,399人
出典:気象庁|台風による災害の例

令和元年 東日本台風(第19号)

東日本台風は、2019年10月12日に伊豆半島に上陸しました。

その後、関東地方を通過し、13日に日本の東で温帯低気圧に変わっています。

東日本台風の接近・通過にともない、広い範囲で大雨・暴風・高波・高潮となりました。

東日本を中心に17地点で500mmを超える雨量を観測。

静岡県や新潟県・関東甲信地方・東北地方の多くでは、降水量の観測史上1 位の値を更新す るなど記録的な大雨となっています。

風については、東京都江戸川臨海で最大瞬間風速43.8m/sとなり、観測史上1 位を更新。

関東地方でも7ヶ所で最大瞬間風速40mを超えました。

この大雨の影響で、広い範囲で河川の氾濫が発生しました。

その他にも土砂災害や浸水被害も発生しています。

東日本台風により、人的被害や住家被害、電気・水道・道路・鉄道施設等のライフラインへの被害が発生するほどの大規模災害となりました。

参考:気象庁 | 令和元年東日本台風(台風第19号)による大雨、暴風等

平成元年に発生した東日本台風により受けた被害は、次のとおりです。

台風名東日本台風
発生年2019年
死者数107人
行方不明者数3人
負傷者数384人
出典:気象庁|台風による災害の例

被害の大きかった過去の台風ランキング

昭和から平成にかけて、災害規模の大きい台風事例を紹介しました。

ここでは各被害項目別に、被害の大きかった過去の台風をランキング形式で見ていきましょう。

それぞれの上位3つまで紹介します。

  • 死者・行方不明者が多かった台風
  • 負傷者が多かった台風
  • 住宅被害が多かった台風
  • 浸水被害が多かった台風

死者・行方不明者が多かった台風

台風名発生年月日被害地域死者数・行方不明者負傷者数住家被害浸水被害
1伊勢湾台風1959年9月26日全国(九州除く)5,098人38,921人833,965件363,611件
2洞爺丸台風1954年9月25日全国1,761人1,601人207,542件103,533件
3狩野川台風1958年9月26日近畿以北(特に静岡)1,269人1,138人16,743件521,715件
出典:デジタル台風:台風被害リスト

負傷者が多かった台風

台風名発生年月日被害地域死者数・行方不明者負傷者数住家被害浸水被害
1伊勢湾台風1959年9月26日全国(九州除く)5,098人38,921人833,965件363,611件
2第2室戸台風1961年9月15日全国(特に近畿)202人4,972人499,444件384,120件
3ルース台風1951年10月13日全国(特に山口)943人2,644人221,118件138,273件
出典:デジタル台風:台風被害リスト

住宅被害が多かった台風

台風名発生年月日被害地域死者数・行方不明者負傷者数住家被害浸水被害
1伊勢湾台風1959年9月26日全国(九州除く)5,098人38,921人833,965件363,611件
2第2室戸台風22539全国(特に近畿)202人4,972人499,444件384,120件
3ルース台風1951年10月13日全国(特に山口)943人2,644人221,118件138,273件
出典:デジタル台風:台風被害リスト

浸水被害が多かった台風

台風名発生年月日被害地域死者数・行方不明者負傷者数住家被害浸水被害
1狩野川台風1958年9月26日近畿以北(特に静岡)1,269人1,138人16,743件521,715件
2台風第13号1953年9月24日全国(特に近畿)473人2,559人86,398件495,875件
3台風第17号・前線1976年9月8日全国169人435人11,193人442,317件
出典:デジタル台風:台風被害リスト

日本の自然災害発生ランキング1位は『台風』

今回は、日本で起きた過去の台風による災害事例を紹介しました。

台風は日本でもっとも多く発生している自然災害です。

中小企業庁が公表している2 我が国における自然災害の発生状況によると、自然災害の発生は「台風」が57.1%ともっとも多く、次いで「地震」「洪水」が多い結果となっています。

毎年多発する自然災害ですから、対策は必須といえるでしょう。

規模によっては被害が大きくなってしまいます。

自社の財産や従業員を守るためにも、過去に発生した台風災害を知り、予想される台風被害に対策しましょう。

台風で起こる災害については、以下の記事で詳しく解説しています。

よろしければ、そちらの記事もご覧ください。

→「台風 災害」へ内部リンク

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