耐震補強金具の種類|必要性と注意点を理解する

「耐震補強ができる金具にはどのような種類があるのだろう」

「営業を続けたいので建て替えずに耐震補強がしたい」

「耐震補強金具はどこにつけたらいいのだろう?注意点は?」

このように耐震補強で金具を使用したいと思っても、詳細についてわからず、悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。

この記事では、耐震補強金具の概要や注意点について解説します。記事後半では、金具の種類もいくつかピックアップして紹介するので、ぜひ最後までごらんください。

耐震補強工事については耐震補強工事|耐震診断と着工までの流れも解説の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

目次

地震に備えるための耐震補強金具

耐震補強金具は、耐震補強を目的として建物の接続部分などに取り付ける金具です。耐震補強金具を使用して建物を補強することを『金物補強』と言います。

耐震補強金具は、地震から会社の資産や従業員の命を守るために大切な役割を果たします。耐震補強金具には、建物の倒壊を防ぐ目的があるためです。

大きな地震が起きた際には、建物が大きく揺れて接合部分が緩んだり抜けたりすることがあります。接合部分に不具合が起きると建物の倒壊につながるため、接続部分の耐震補強が重要なのです。

現在、耐震補強金具の強度は、様々なテストの結果をもとに認定されています。耐震補強金具は部材の一部に取り付けて使用するため、基本的に建物の建て直しは必要ありません。営業を長く中断せずに耐震補強ができるため、ぜひ検討したい耐震補強方法です。

その他、耐震補強の方法については耐震補強工事の方法には何がある?自分でできる耐震補強についても紹介の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

耐震補強金具を必要とする建物

十分な耐震性が担保されている建物では、耐震補強金具が取り付けられている可能性が高い傾向にあります。逆を言えば、倒壊の可能性がある建物は、耐震補強金具の使用が必要です。

倒壊の可能性がある建物には、以下があります。

  • 旧耐震基準で建てられた建物
  • 老朽化が見られる建物

それぞれ詳しく解説します。

旧耐震基準の建築物

旧耐震基準で建てられた建物は倒壊する危険があるため、耐震補強金具の使用を検討しましょう。

現在の建物は『旧耐震基準』と『新耐震基準』で建てられた建物に分けられます。耐震基準が2つあるのには、1995年に起きた阪神淡路大震災が背景にあります。

阪神淡路大震災では90%以上が地震による被害を受けたと言われており、同じような被害を食い止めるため新耐震基準が作られました。阪神淡路大震災をきっかけに、より耐震基準の厳しい新耐震基準が定められたのです。

新耐震基準を満たしていない建物は、地震時に大きな被害を受ける可能性があります。旧耐震基準で建てられた建物は、耐震補強金具などを使用した耐震補強を検討しましょう。

新耐震基準で建てられた建物であっても、木造の場合は注意が必要です。木造建築物に関する建築基準は、2000年6月にも再改正がおこなわれました。それ以前の木造建築物は現行の基準を満たしていないため、耐震補強を検討した方が良いと言えます。

老朽化が見られる建物

新耐震基準で建てられていても、建物の老朽化が見られる場合は耐震補強を検討しましょう。

長く経過していたり、一度地震の被害を受けたりした建物は、部材や基礎などが傷んでいる可能性があります。

例えば、壁にひびが入っていたり土台が腐っていたりする場合は耐震補強を検討すべきです。シロアリで柱などが被害を受けていることもあります。

老朽化した建物は耐震基準を満たしていても倒壊する可能性があるので、耐震補強を検討しましょう。

木造の耐震補強については木造の耐震補強|工事内容や費用も解説の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

金具を使用した耐震補強の注意点

耐震補強金具を使えば、基本的に建物を立て直す必要がなく地震に備えられます。しかしながら、耐震補強金具の効果を発揮させるためには、適切な場所に正しく取り付けなくてはなりません。

2000年の建築基準法・建設省告示第1460号でも、木造建築物の接合金物は正しく施工することが義務付けられています。

地震が起きた際に会社の資産や従業員の命を守るためにも、耐震補強金具の設置には専門知識が必要なのです。

耐震補強金具の種類

ここからは、耐震補強金具の以下の種類を紹介します。

  • 筋かい金物
  • ホールダウン金物
  • 仕口金物

それぞれ詳しく紹介するので、よろしければお役立てください。

筋交い金物

筋交い金物は、筋交いの端と柱などに取り付けて補強する耐震補強金具です。

筋交いとは、建物の柱と柱の間に斜めに取り付ける部材をさします。筋交いは横からの力に抵抗する役割があり、地震の際に起きる横揺れに対抗してくれる耐震補強材です。しかし、縦揺れが発生すれば筋交いが外れ、倒壊する危険性があります。

地震の縦揺れに備え、はずれないようにするために、筋交い金物を使用するのです。

筋交い金物には、以下のような種類があります。

  • プレート型:柱の側面に取り付けて使用する筋交い金物。ホールダウン金物との干渉を軽減できる。
  • ボックス型:梁などにのせて使用する筋交い金物。筋交いと柱と3つの面で補強する。
  • 二面施工タイプ:筋交いと柱の2つの面を補強する筋交い金物。ホールダウン金物などとの干渉を防げる。

ホールダウン金物

ホールダウン金物は、柱が土台や梁から抜けないようにするための耐震補強金具です。柱の上と下に設置して使用します。

建物に筋交いがない場合などは、地震で横からの力が加わると柱がゆがんだり折れたりする可能性があります。柱が被害を受ければ、建物は倒壊のリスクがあり危険です。

たとえ筋交いで補強されていようとも、土台が柱から抜ける『引き抜き力』が起きることもあります。この引き抜き力で柱が抜けないようにするのも、ホールダウン金物の役割です。

ホールダウン金物を取り付ける際は、引き抜き力を耐震診断などで正確にし、適したサイズを選ぶ必要があります。

仕口金物

仕口金物は、建物の接合部分に取り付ける補強金具です。仕口とは、建物の柱と梁の間や、梁と桁の間のような接合部分をさします。

地震で建物が揺れると、仕口には大きな負担がかかります。その結果、建物が倒壊することもあるため、仕口の補強は重要なのです。

仕口金物には、例えば仕口ダンパーがあります。仕口ダンパーは仕口の変形を最小に食い止める以外にも、壁の耐震補強に役立ちます。壁がない面にとりつけると、壁と同程度の強度をもたせることも可能です。

店舗の入り口や倉庫のような大きな空間など、適用される場所が広く使いやすいのも魅力でしょう。

耐震補強の費用については耐震補強工事の費用|建物別に目安金額を紹介の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

耐震補強金具で地震に備えよう

今回は、耐震補強金具の概要や注意点を紹介しました。

耐震補強とは大きな地震が起きた際に、建物の倒壊を防ぎ会社の資産や従業員の命を守るためにおこなうもの。旧耐震基準で建てられた建物や老朽化の見られる建物は、大きな地震が起きると倒壊する可能性があるので、注意が必要です。

建物の接続部分に取り付ける耐震補強金具を使用すれば、建て替えをせずに補強が可能な場合もあります。ただし、十分な効果を発揮するためには専門的な知識が必要です。

もしものときに備えて、耐震補強金具の使用を検討してみてはいかがでしょうか?

その他、耐震補強については耐震補強は企業を守る|耐震補強の必要性から補助金までまとめて解説で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

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