耐震補強に関する補助金制度|費用をおさえて資産を守る

「耐震補強の工事で使える補助金はあるだろうか?」

「少しでも出費を抑えて改修工事をしたい」

このように耐震補強に関する補助金について疑問をお持ちの企業は多いのではないでしょうか。

地震が起きた際に備えて、従業員や会社の資産を守るために重要な耐震補強工事。費用を抑えて工事をするためには、国や地方公共団体の補助金制度を活用しましょう。

この記事では、耐震補強工事に関する補助金の概要と申請方法を解説します。記事後半では補助金を受け取った際の税制優遇についても紹介するので、ぜひ最後までごらんください。

目次

耐震補強工事を助成する補助金制度

ここからは、耐震補強工事における補助金について以下を解説します。

  • 概要
  • 補助金の条件
  • 申請方法

それぞれ詳しく解説するので、よろしければお役立てください。

耐震補強工事における補助金の概要

高額な費用が必要な耐震補強工事では、国や地方公共団体がおこなっている補助金制度を活用できます。

国土交通省は、令和12までに耐震性が不十分な住宅を、令和7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物をおおむね解消することを目標としています。より安全な建物として命や資産を守るために、耐震化を支援しているのです。

具体的には、耐震診断や補強設計、改修工事に対して必要な費用の一部を助成してくれます。ただし、補助金制度における耐震診断は『耐震対策緊急促進事業』によって耐震診断を義務付けられた建築物の所有者がおこなうものとされています。

耐震診断とは

耐震診断とは、耐震補強工事が必要かを確認する検査のことです。地震が起きた際の被害などを、図面や実物などをチェックして判断します。

耐震診断が義務付けられている建物は、以下です。

  • 要緊急安全確認大規模建築物
  • 小学校、老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物
  • 火薬類等の貯蔵場・処理場のうち大規模なもの
  • 要安全確認計画記載建築物(地方公共団体指定の緊急輸送道路等の避難路沿道建築物)
  • 都道府県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物

地震が起きた際に避難所として機能する病院や学校、他にも不特定多数の人が利用する店舗や旅館などが耐震診断義務の対象とされているのです。

国と地方公共団体の補助

耐震診断が義務付けられた建物には、以下の補助金があります。

  • 国による補助金
  • 地方公共団体と国を併せた補助金

地方公共団体の補助金制度は、国の補助金制度を併用することで耐震補強工事などの補助率が高くなります。耐震対策緊急促進事業における補助金制度を併用する場合は、地方公共団体が窓口なので事前に確認をしておきましょう。

補助金制度は対象となる地域によって変わるので、以下を参考にされてください。

日本建築防災協会耐震支援ポータルサイト

ちなみに、大学や学校関連施設は、文部科学省による『防災機能等強化緊急特別推進事業』の補助金制度が活用できます。私立大学に対して助成される制度で、緊急性や計画調書の内容等を審査したうえで、要件を満たしていると補助金を受け取れます。

耐震補強工事における補助金の条件

耐震補強工事における補助金制度には、いくつかの条件が定められています。

自治体によって内容は異なりますが、一般的には以下の条件が多く指定されます。

  • 築年数
  • 建物の構造
  • 建物用途
  • 耐震診断
  • 施工会社

築年数

築年数は、1981年5月31日までに建築確認を受けた木造住宅とされています。それ以前の建物は旧耐震基準で建てられており、新耐震基準を満たしていない可能性があるためです。

耐震基準を満たさない建物をより安全にするために、築年数はひとつの目安となっています。

木造の建物の耐震補強については木造の耐震補強|工事内容や費用も解説の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

建物構造

建物構造は、木造軸組み工法で2階建以下の建物とされることが多くあります。

自治体によっては、伝統工法やツーバイフォー住宅が対象です。3階建以上になると特殊な耐震工事や構造計算が必要になることから、2階建以下とされています。

建物用途

建物用途は、戸建て住宅であることが条件となるケースが多くあります。

所有者と居住者が異なる賃貸住宅の場合は、所有者が耐震診断をする必要があります。店舗と併用している住宅は制限がある場合が多いので、確認をしておきましょう。

耐震診断

耐震診断の結果、評点1.0を満たしていない場合は注意が必要です。評点1.0以上になるように補強工事をおこなうよう指定されることが多くあります。

評点の参考を、以下の表にまとめました。

上部構造評点判定
1.5~倒壊しない
1.0~1.5一応倒壊しない
0.7~1.0倒壊する可能性がある
~0.7倒壊する可能性が高い

(参考:東京都耐震ポータルサイト

評点が0.7未満の場合は、段階的改修の補助金制度が活用できる自治体もあります。段階的改修工事とは、段階的に耐震補強工事をおこなう工事のこと。例えば、先に2階建ての1階部分を評点1.0以上にして、次に全体の構造を評点1.0以上にするよう工事をします。

評点0.7未満から1.0以上にあげるためには高額な耐震補強工事が必要なため、段階的改修の補助金制度が活用できるのです。

施工会社に制限があることも

耐震補強工事における補助金の条件として注意したいのが、施工会社に制限がある場合です。自治体によって異なりますが、耐震診断や工事施工を同じ市区町村内に営業所がある企業に指定することが多くあります。

耐震補強工事における補助金の申請方法

耐震補強工事における補助金の申請には、行政の耐震診断が必要です。耐震診断を

おこなった後に補助金の交付申請をして、交付が決定すれば改修工事にとりかかります。

補助金の受け取りは、工事終了の手続きが完了した後です。完了実績報告をおこなって補助金の確定がされ、申請した補助金が振り込まれます。

耐震補強の工事については耐震補強工事|耐震診断と着工までの流れも解説の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

国土交通省がおこなう補助金制度

ここからは、国土交通省が実施している耐震補強工事の補助金制度について、以下を紹介します。

  • 住宅・建築物安全ストック形成事業
  • 地域防災拠点建築物整備緊急促進事業(建築物耐震対策緊急促進事業)

よろしければ、お役立てください。

住宅・建築物安全ストック形成事業

住宅・建築物安全ストック形成事業では、以下の助成があります。

耐震診断、補強設計等の交付率

民間実施国と地方で2/3
地方公共団体実施国1/3

耐震改修、建替え又は除却の交付率(避難所等の防災拠点)

公共建築物国と地方で2/3
民間建築物地方公共団体実施:国1/3

耐震改修、建替え又は除却の交付率(オフィスビルなど多数の者が利用する建築物)

公共建築物国11.5%
民間建築物国と地方で23%

地域防災拠点建築物整備緊急促進事業(建築物耐震対策緊急促進事業)

地域防災拠点建築物整備緊急促進事業では、以下の助成があります。

耐震診断が義務付けられた建物の耐震補強工事への支援(令和5年まで)

要緊急安全確認大規模建築物(ホテル・旅館、デパート等)補強設計1/2耐震改修1/3
要安全確認計画記載建築物(避難路沿道建築物、防災拠点建築物)耐震診断1/2補強設計1/2耐震改修2/5
緊急輸送道路沿道建築物等耐震診断1/3補強設計1/3耐震改修1/3

補助金制度がなかったら

耐震診断が義務付けられた施設でも、地方公共団体で補助金制度が整備されていない場合もあります。

その場合は国が単独で助成するので、問い合わせ窓口を以下に記載しておきます。

耐震対策緊急促進事業実施支援室

耐震補強工事における補助金の税制優遇処置

耐震補強工事で補助金を受け取る場合、『耐震改修促進税制』によって税制優遇が認められています。

具体的には、平成26年4月1日~令和5年3月31日の間に耐震改修をおこなって補助金を受け取った場合の固定資産税額が2年間1/2に減額されます。

耐震補強の費用については耐震補強工事の費用|建物別に目安金額を紹介の記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

耐震補強工事の補助金まとめ

今回は、耐震補強工事における補助金制度について紹介しました。耐震補強工事は、国や地方公共団体の補助金制度を活用することで費用をおさえられます。

補助金を申請するために必要な条件は異なるので、事前の確認が重要です。補助金制度を活用して、耐震補強工事を無理なくすすめていきましょう。

他の耐震補強の情報について耐震補強は企業を守る|耐震補強の必要性から補助金までまとめて解説で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

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