災害時における補助金の種類|被災した後について考える

「災害時には補助金が受け取れるのだろうか」

「被災した際の支援について知りたい」

「災害で受け取った補助金の税金の取り扱いがわからない」

このように災害時における補助金について悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。

災害時には建物や什器などの被害を受けたり休業を余儀なくされたりと、費用が多くかかります。

このような場合に活用したい国の補助金制度ですが、災害によって異なるため、参考が見つからず困ってしまいますよね。

この記事では災害時に申請できる補助金の種類や支援について解説します。

この記事を読んだあとは、被災した際の補助金の種類について理解し、災害時の支援についても説明ができるようになります。

記事後半では税金の取り扱いも紹介するので、ぜひ最後までごらんください。

目次

災害で申請できる補助金の種類

災害後に申請できる補助金は、大きく分けると以下のとおりです。

  • グループ補助金(なりわい再建補助金)
  • 持続化補助金
  • 自治体連携型補助金

それぞれ詳しく紹介します。

グループ補助金

グループ補助金とは、施設や生産機械などの設備の復旧費用を補助する目的で設けられた補助金制度です。令和2年7月に起きた豪雨災害では制度を拡充し「新グループ補助金」「なりわい再建補助金」として、被害を受けた施設や設備の復旧のために創設されました。

グループ補助金の支援内容は、以下です。

  • 対象:中小企業者・中小企業事業協同組合等
    ※県が「復興事業計画」を策定する必要有
  • 補助率: 中小企業等3/4(国1/2、県1/4)
  • 上限額:15億円
  • 補助対象費目:施設や設備の復旧費用等(資材・工事費、設備調達や移転設置費、取り壊し、除去費、整地、排土費等を含む)

補助率は中小企業等で3/4と定められていますが、過去に被災、売上減少要件など一定の要件を満たす場合には5億円まで定額補助が可能です。

持続化補助金

持続化補助金は、被災した小規模事業者に向けた補助金です。事業再建に向けて取り組んだ場合に、最大200万円の補助が受けられます。

持続化補助金の支援内容は、以下です。

  • 対象:災害によって被害を受けた一定の小規模事業者
    ※商工会等の支援を受けて事業再建に取り組む者
  • 補助率:最大2/3
  • 上限額:200万円(直接被災事業者)
        100万円(間接被災事業者)
  • 補助対象費目:機械装置等、設備処分、広報、展示会等出展費、開発費、委託費、外注費など

持続化補助金は、最大10社まで共同申請が可能とされています。

自治体連携型補助金

自治体連携型補助金は、自治体が災害地域の被害に応じて事業者の再建支援をおこなう補助金制度です。

自治体連携型補助金の支援内容は、以下です。

  • 対象者:災害被害を受けた自治体指定の事業者
  • 補助率:最大3/4
  • 補助対象費目:復旧・再建費用のうち自治体が適当と認めるもの

補助金以外の災害支援

災害時に受けられるのは補助金だけだと思われがちですが、実は他にも受けられる支援があります。

災害時の支援内容は、以下のとおりです。

  • 災害復旧貸付
  • 災害復旧高度化事業
  • 信用保証(セーフティネット保証4号)
  • 信用保証(災害関係保証)
  • 職場適応訓練費
  • 小規模企業共済災害時貸付

それぞれ紹介します。

災害復旧貸付

災害復旧貸付は、災害で被害を受けた中小企業や小規模事業者等に対しておこなわれる貸付制度です。日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫が事業復旧のための運転資金や設備資金を融資します。

例えば、日本政策金融公庫は貸付限度額を1災害あたり上乗せで3千万円と設定しています。償還期間は、適用する各貸付制度の貸付期間に準じ、普通貸付を適用した場合は10年以内です。

災害復旧高度化事業

災害復旧高度化事業は、災害で被害を受けた事業用施設を復旧する際、中小企業者が共同した場合に受けられる一部貸付制度です。

都道府県と独立行政法人中小企業基盤整備機構が、必要な資金の一部を無利子で貸付けします。

貸付割合は90%以内で償還期間は20年以内とされており、うち3年以内の据置が可能です。

信用保証(セーフティネット保証4号)

セーフティネット保証4号は、災害救助法の適用を受けた市町村の事業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠でおこないます。自然災害などによる突発的な事案で、経営の安定が難しいとされた場合に適用します。

保証割合は融資額の全額で、保証率は信用保証協会所定の割合です。一般保証とは別枠で、無担保8千万円、最大で2億8千万円が保証されます。

なお信用保証を受ける対象者は、以下に両方に該当する事業者です。

  • 指定地域において1年間以上継続して事業を行っている事業者
  • 災害の影響を受けた後、原則として最近1ヵ月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、その後2ヵ月を含む3ヵ月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる事業者

信用保証(災害関係保証)

一般保証やセーフティネット保証4号とは別枠でおこなう保証です。災害で事業用資産等に直接的な被害を受けた中小企業者へおこなわれます。

災害で事業所や工場、作業所など、主要な事業用資産に被害を受けた事業者が対象で、融資額の全額を保証します。なお、無担保8千万円、最大で2億8千万円が、一般保証と別枠で保証されます。ただし、セーフティネット保証4号と合算で5億6,000万円が上限です。

小規模企業共済災害時貸付

小規模企業共済災害時貸付は、災害救助法の適用を受けた市町村が対象です。

貸付限度額は納付済掛金の合計額に、掛金納付月数に応じた7割~9割を乗じて得た額、もしくは1,000万円の少ない額とされています。

貸付期間は金額によって異なり、500万円以下なら36ヵ月 、505万円以上は60ヵ月です。

災害で受け取った補助金の税金の取り扱い

災害で受け取った補助金に税金が生じるのか、疑問に思う方も多いでしょう。

補助金は一般的に対価として支払われるものではないため、消費税の対象外となります。ただし、所得税や復興特別所得税については、場合によって対象内外が分かれます。

以下に、所得税や復興特別所得税の課税対象と対象外についてまとめました。

<課税対象>

  • 事業所得などの必要経費に算入される金額を補てんするもの
  • 休業期間中の収益補償など事業所得等の収入金額に代わるもの

上記は課税の対象となるため、事業所得などの総収入金額に計上します。

<課税対象外>

  • 支給する法令の規定上非課税とされているもの(被災者生活再建築支援金など)
  • 義援金や見舞金で、その受贈者の社会的地位や贈与者との関係などと照らし合わせて相当と認められるもの。

補助金を確定申告で圧縮記帳する場合は、災害時の保険金取り扱い|税金や会計処理の方法を理解して備えるの記事が役に立ちます。よろしければ、ごらんください。

保険金に関する記事※準備中

災害時の補助金まとめ

災害時には建物や設備などが被害をうけるだけでなく、部品の供給などの物流の影響を受けることもあります。

このような場合に活用したいのが、国や自治体の補助金制度です。

補助金にはグループ補助金や持続化補助金、自治体連携型補助金があり、それぞれに要件が定められています。この記事で紹介した補助金の他、災害に応じて緊急に設けることも考えられるため、アンテナは常に張っておくよう心がけましょう。

補助金の他、災害後の行動については災害の被害に備える|実例・想定を知り対応できる体勢を整えるの記事で詳しく解説しています。よろしければお役立てください。

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