リスクマネジメントとは?わかりやすく解説!具体的な取り組み手法も紹介

「リスクマネジメントってなに?どのような手順で進めればいいのかわからない」とリスクマネジメントについて学び始めた頃は疑問が多いでしょう。

リスクマネジメントという言葉は聞いたことあっても、説明するのは難しいと思う方が多いはず。

リスクマネジメントとは、企業活動で発生する各リスクに対し、リスクが発生しても適切に対処できるようにすることです。

この記事ではリスクマネジメントとはなにか、初心者にもわかりやすく解説します。

具体的な取り組み手順や類語との違いまで紹介しますので、リスクマネジメントの理解にお役立ちできれば幸いです。

目次

リスクマネジメントとは?簡単に解説

リスクマネジメントとは、企業が経営をおこなっていくうえで障害となるリスクを把握し、事前に対策や回避するための経営手法のことです。

企業活動に悪影響を与えるリスクを特定し、資産・活動・稼働力を保護するため、最小のコストで運営管理します。

リスクマネジメントの意味や目的

リスクマネジメントは企業にとって重要です。

リスクを把握できないと、リスクが発生したときに対応できないためです。

リスクマネジメントのおもな目的は、損失を回避・低減し、資産・活動・稼働力を保護です。

例えば大きな地震が発生し、商品の製造・組み立てを一貫しておこなう工場が稼働できなくなったとします。

そうなると商品が作れませんから、企業の経営に大きな障害となってしまうでしょう。

そうならないよう組み立て工場を分散させたり、外部に一部の工程をアウトソーシングしたり、リスクを分散させます。

またリスクマネジメントをおこなうことで、次のような影響に対応することも検討できます。

  • デジタルリスク
  • 市場の変化

リスクマネジメントを実施することで、企業の経営を続けられる可能性が高まります。

リスクマネジメントの取り組みは、企業存続において大きな意味をもちます。

リスクマネジメントが企業にとって重要な理由

そもそも、なぜリスクマネジメントが企業にとって重要なのでしょうか?

それは企業を取り巻くリスクが多様化しているためです。

例えば製造業の場合、次のようなリスクが考えられます。

  • 原料の市場や製品
  • サービスを販売する市場の不確実性
  • 売り上げが低下した場合の回復能力
  • 営業力の不確実性
  • 資本調達に関する不確実性
  • コンプライアンス違反

これらはあくまで考えられるリスクの一例です。

ほかにも経営戦略リスクや財務リスク、ハザードリスクなど多様なリスクが存在します。

企業を取り巻くリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。

よろしければ、そちらもご覧ください。

→「リスクマネジメント 企業」へ内部リンク

リスクマネジメントにおけるリスクとは

リスクマネジメントを実施するうえで、リスクを理解する必要があります。

「リスク=損」と捉えられがちですが、実は得することもあるのです。

リスクマネジメントにおけるリスクは、次の2種類です。

  • 損失のみのリスク
  • 利得と損失のリスク

ひとつ目の損失のみのリスクとは、偶発的な事故による財産の損壊のことです。

  • 火災
  • 台風
  • 水害
  • 地震
  • 機械的事故
  • 電気的事故
  • 詐欺
  • 盗難

これらのような偶発的に発生する事故が該当します。

一般的に被害や損失しか生まないようなリスクが、損失のみのリスクです。

ふたつ目の利得と損失のリスクとは、損失の可能性もありますが、場合によっては利得もあるリスクのことです。

政治的・経済的要因によって引き起こされる変動や環境変化によって起こります。

  • 景気
  • 為替
  • 金利
  • 消費者の趣向変化
  • 政情不安
  • 政策変更
  • 政権交代
  • 規制の緩和

これらのようなリスクが該当します。

円安や円高の影響で仕入れ値が安くなったり、政策が自社にとって有利な内容になったりすることで、損失になる可能性も利得になる可能性もあるでしょう。

リスクは必ずしも損するものではありません。

リスクの種類によって回避すべきか受け入れるべきか、対策方法が変わります。

リスクコントロール

リスクコントロールとは、リスクの回避・リスクを低減させるための手法です。

リスクによる損失の発生頻度と大きさを削減するためにおこないます。

リスクをコントロールする方法はさまざまです。

回避そもそもリスクが起こらないよう回避する
損失制御リスクが発生する頻度・回数を減らす
結合リスク対象をひとつにまとめて、集中管理する
分離リスク対象をまとめず、分散する

これらの手法をリスクに応じておこない、リスクによる損失を削減します。

リスクファイナンス

リスクファイナンスとは、リスクが発生した場合の損失を補填するための手法です。

実際にリスクが発生した場合、経済的に損失を受ける可能性があります。

そうした損失に備え、さまざまな保険の加入を検討するのがリスクファイナンスです。

リスクファイナンスには、おもに2つの方法があります。

リスクの移転保険や契約などで、リスクが発生した場合の損失を第三者に補填してもらう
リスクの容認リスクがあることを把握したうえで対策をおこなわず、リスクを受け入れる

すべてのリスクに対し、保険や契約などで補填する必要はありません。

リスクが発生したときの影響が、自社にとって容認できる水準にあるかを検討します。

リスクの影響度が容認できる水準にあれば、リスクを受け入れ、リスク発生時には自己負担で対応します。

すべてのリスクに第三者を置くのではなく、自社にとって補填するべきか否かで対応方法を検討するのです。

リスクマネジメントの具体的なプロセス

リスクマネジメントを導入するには、5つのステップにしたがって進めます。

  1. リスクを特定する
  2. リスクを分析する
  3. リスクに優先順位をつける
  4. リスクに対応する
  5. 対応のモニタリングと改善する

まずはリスクを特定することから始めます。

重要なのは、リスクをたくさん挙げること。

そして考えられるだけリスクをリストアップできたら、予想されるリスクを分析します。

分析結果によって、対策を決めるのが目的です。

リスクの分析を終えたら、分析結果をもとに一覧として可視化します。

これは予想されるリスクに優先順位をつけやすくするためです。

影響度が大きく、かつ発生確率も高い重大なリスクを優先的に対策します。

対策すべき優先順位の高いリスクが判明したら、具体的な対策を検討していきましょう。

対策の検討方法には、次の4つの考え方があります。

  1. 回避
  2. 損失防止
  3. 損失削減
  4. 分離・分散

最後に、予想されるリスクの対策を実施したら効果測定をおこないましょう。

リスクマネジメントは一度おこなって終わりではありません。

対策の反響や効果、改善点がないか確認します。

リスクマネジメントの具体的なプロセスについては、以下の記事で詳しく解説しています。

よろしければ、そちらもご覧ください。

→「リスクマネジメント プロセス」へ内部リンク

リスクマネジメントの類語

リスクマネジメントについて調べていると、似ている意味をもつ言葉が出てきます。

なんとなく理解できても、具体的な意味まではわからない方が多いでしょう。

リスクマネジメントによく出てくる、次の類語との違いについて解説します。

  • リスクアセスメント
  • クライシスマネジメント
  • 危機管理

リスクマネジメントとリスクアセスメントとの違い

リスクマネジメントとは、リスクを組織的に管理し、調整を図るプロセス全般を指します。

一方リスクアセスメントとは、リスクマネジメントにおけるプロセスの一部です。

リスクマネジメントのプロセス5ステップのうち、次の3つがリスクアセスメントに該当します。

  • リスクを特定する
  • リスクを分析する
  • リスクに優先順位をつける

リスクマネジメントとリスクアセスメントの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

よろしければ、そちらもご覧ください。

→「リスクマネジメント リスクアセスメント」に内部リンク

リスクマネジメントとクライシスマネジメントとの違い

リスクマネジメントとクライシスマネジメントは似た意味で使われることが多く、意味を混同して使われることがあります。

おもな違いは、リスクに対する考え方です。

リスクマネジメントとは「企業活動で発生する各リスクに対し、日常的に対策を講じ、実際にリスクが発生しても適切な対処ができるようにすること」です。

一方クライシスマネジメントは「危機は必ず発生する」という前提で、危機的事態が発生した際の対策を検討しておくことを指します。

リスクマネジメントはリスクが発生する前からの対策、クライシスマネジメントはリスクが発生したあとの対策といえます。

リスクマネジメントとクライシスマネジメントの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

よろしければ、そちらもご覧ください。

→「リスクマネジメント クライシスマネジメント」に内部リンク

リスクマネジメントと危機管理との違い

リスクアセスメントやクライシスマネジメントのほかに、危機管理という言葉もよく使われます。

危機管理とは危機が発生した場合、その影響を最小限にするか、いち早く危機的状況から脱出することが基本の考え方です。

リスクのなかには自然災害や事故など、自社では防げないものもあります。

そうしたリスクが発生したあと、その被害を最小限に抑える防止策が危機管理です。

もちろん未然に防げるのであれば防ぎます。

つまり危機管理は、リスクマネジメントとクライシスマネジメントどちらの意味も含んでいるともいえます。

リスクマネジメントの取り組みは企業にとって必須

今回はリスクマネジメントについて、初心者にもわかりやすく説明しました。

繰り返しになりますが、リスクマネジメントとは企業が経営をおこなっていくうえで障害となるリスクを把握し、事前に対策や回避するための経営手法のことです。

企業を取り巻くリスクは多様化しているため、5つのステップにしたがってリスクマネジメントを導入していきます。

  1. リスクを特定する
  2. リスクを分析する
  3. リスクに優先順位をつける
  4. リスクに対応する
  5. 対応のモニタリングと改善する

企業にとってリスクマネジメントは重要な経営手法です。

リスクマネジメントの全体像を把握したら、まずは自社を取り巻くリスクを洗い出すところから始めましょう。

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