リスクマネジメントを自社で導入したくとも、予備知識なしでおこなうのは難しいでしょう。
ここで気になるのは、他社のリスクマネジメント導入事例ではないでしょうか?
リスクマネジメント導入を検討したら、まずは他社の取り組み事例を確認しましょう。
導入事例を参考にしたほうが、リスクマネジメントをスムーズに導入できるためです。
この記事では、すでにリスクマネジメントを実施している企業の事例を紹介します。
自社に合ったリスクマネジメントを導入するヒントになりますので、ぜひ事例を参考にしてください。
リスクマネジメントとは
リスクマネジメントとは、企業が経営をおこなっていくうえで障害となるリスクを把握し、事前に対策や回避するための経営手法のことです。
企業活動で発生する各リスクに対し、日常的に対策し、実際にリスクが発生しても適切な対処ができるようにします。
詳しくは以下の記事で解説していますので、よろしければそちらをご覧ください。
→「リスク マネジメント と は わかり やすく」
企業がリスクマネジメントに取り組むべき理由
企業にとって、リスクマネジメントに取り組む重要性が高まっています。
企業を取り巻くリスクが多様化・複雑化しているためです。
例えば人手不足により、業務遅延や業務継続不可となるリスクがあります。
最低人員だけで業務を進めている場合、誰か1人でも欠けてしまうと業務続行が難しくなるでしょう。
そのため自社の一部業務をアウトソーシングし、業務遅延・業務停止リスクを軽減させる解決方法が考えられます。
このように企業が継続して経営を進めるため、企業はリスクマネジメントに取り組まなければいけません。
企業におけるリスクマネジメントの必要性については、以下の記事で詳しく解説しています。
よろしければそちらをご覧ください。
→「リスク マネジメント 企業」
対策すべきリスクマネジメントの事例
企業が対策すべきリスクは次の6つです。
- 情報漏えい
- システム障害
- コンプライアンス
- 自然災害
- 財務・人事
- リコール
情報漏えい
顧客情報を抱えるすべての企業が対策すべきリスクです。
顧客情報の流出は、企業の信頼性を下げる要因になってしまいます。
インターネットの普及により、企業活動の幅は広がりました。
しかし一方で、サイバー攻撃による情報流出事件があとを絶ちません。
特定の企業や不特定多数を狙ったサイバー攻撃まで、インターネット上にはさまざまな脅威が存在します。
また人為的ミスにより、機密情報が漏れてしまうリスクも。
連絡手段として活用されているのがメールです。
- 会員のメールアドレスを記載したデータを添付したメールを誤送信
- 顧客情報のはいったUSBメモリを紛失
このように注意していても、悪意あるサイバー攻撃や人為的ミスによって情報漏えいが発生してしまいます。
システム障害
IT化が進んでいる現代において、システム障害リスクは常につきまといます。
精密機器はいつ壊れてしまうかわからないためです。
経年劣化で障害が発生することもあれば、人による誤操作で故障することもあるでしょう。
2022年現在、大きなシステム障害としては次のような事例があります。
- 銀行のシステム障害により、全ATMが利用不可
- 証券取引所のシステムがダウンし、終日全銘柄の取引が停止
IT化により業務が円滑に進めるようになった反面、システム障害によるリスクは大きくなっています。
システムを正常に稼働させ続けることが、企業にとっての責務ともいえるでしょう。
コンプライアンス
すべての企業はコンプライアンスに関するリスクに備えるべきです。
一度のコンプライアンス違反で、顧客から信用してもらえなくなるためです。
コンプライアンスとは「法令遵守」のこと。
企業内で発生するコンプライアンス違反には、次のようなものが考えられます。
- 横領
- 脱税
- 異物混入
- 社員の不祥事
- 食品衛生法
- 独占禁止法
- 労働安全衛生法
- 著作権
これらはほんの一例です。
コンプライアンス違反してしまうと、行政から厳しい指導がおこなわれます。
一度失った信頼を取り戻すのは大変です。
コンプライアンス違反を起こさないよう、リスクマネジメントを徹底しましょう。
自然災害
企業にとって避けられないリスクは自然災害です。
- 台風
- 地震
- 火災
- 労働災害
- 感染症のまん延
自然災害のなかには、突然発生する災害もあります。
災害が起こってから対策するのでは間に合いません。
起こりうる自然災害を予測し、災害が起こってしまったあとの対応策を用意しましょう。
財務・人事
財務面や人事面におけるリスクマネジメントを積極的におこないましょう。
経営上の失敗により、財務面で経営継続困難な状況になってしまう可能性があります。
例えば新事業を立ち上げたとき、事業が失敗に終わるかもしれません。
新事業には資金を投入していることでしょう。
その資金が回収できないために、経営に支障が出る可能性があります。
また役職員の急な退職により、人事面で企業経営に影響が出ることも。
退職した役職員に代わる人材がいればよいですが、代わりがいない場合のリスクは大きいのです。
企業の経営継続のため、税務・人事のリスクマネジメントは企業にとって必須です。
リコール
モノづくりをしている企業にとって恐ろしいのがリコール。
リコールが発生すると、次のようなリスクが考えられます。
- 信用の低下
- 風評被害
- 消費者の買い控え
上記以外に、原因究明や代替品の製造費用もかかります。
リコールの内容によっては、被害者への賠償金問題に発展することもあり得ます。
そうならないようリスクマネジメントとして、製品設計や製造時の管理徹底が必要です。
もしリコールが起こってしまったとしても、速やかに適切な対応できるようシミュレーションをおこないましょう。
企業別リスクマネジメントの取り組み3選
企業にとってリスクマネジメントが必要だとわかりました。
しかし、企業ではどのようにリスクマネジメントがおこなわれているのか気になるでしょう。
リスクマネジメントの取り組みを企業別に紹介します。
- 東レ株式会社
- カゴメ株式会社
- 株式会社 高島屋
東レ株式会社
東レ株式会社は、定期的にリスクマネジメントの見直しをおこなっています。
経営戦略の一環として、2018年4月にリスクマネジメントを推進する専任組織を設置しました。
リスクマネジメントの進捗については、定期的に取締役会に報告し、迅速かつ的確なリスクマネジメントをおこなっているとわかります。
また東レグループはグローバル企業でもあるため、社員の海外渡航管理や海外リスク情報収集を担う、以下の組織を設置しています。
- 海外危機管理委員会
- 現地危機管理委員会
このように東レ株式会社は、平時から危機発生時の対応までを視野にいれたリスクマネジメントを実施しています。
参考:リスクマネジメント | CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) | サステナビリティ | TORAY
カゴメ株式会社
カゴメ株式会社は、2012年に「カゴメグループ災害対策基本行動計画」の制定と運用を開始しました。
これは東日本大震災で大きな被害を受けたためです。
健康な食生活を支えるライフライン企業として事業継続に向けたマネジメント体制の強化に努めていると記載されています。
各事業所での防災訓練や安否確認訓練はもちろん、災害発生時の早期商品供給再開に向けた体制の構築に注力しています。
その他にも、全社的なリスクマネジメントとして5つの専門委員会を設置しています。
- コンプライアンス委員会
- 情報セキュリティ委員会
- 品質保証委員会
- 研究倫理審査委員会
- 投資委員会
株式会社 高島屋
株式会社 高島屋は、社長を委員長とする「高島屋グループCSR委員会」を設置し、グループ全体のリスクマネジメント体制を構築しています。
グループ全体を横断的に検証することで、コンプライアンス経営の徹底を図っています。
株式会社 高島屋が設置している各委員会には、次のようなものがあります。
- 高島屋グループCSR委員会
- 高島屋グループリスクマネジメント委員会
- 危機管理(総務部)
- 公正取引推進(総務部)
- 個人情報管理(総務部)
- 業務監査(業務監査室)
- 倫理(人事部)
- 環境(ESG推進室)
- IR(広報・IR室)
参考:内部統制システム|ガバナンス&リスクマネジメント|IR|企業情報|高島屋
さまざまな取り組みを知り、自社のリスクマネジメントに生かそう
今回はリスクマネジメントをすでに実施している企業の事例を説明しました。
企業が対策すべきリスクは次の6つです。
- 情報漏えい
- システム障害
- コンプライアンス
- 自然災害
- 財務・人事
- リコール
各企業は自社にとっての優先事項を決め、自社に合ったリスクマネジメントを実施しています。
とはいえ、いきなり自社だけでリスクマネジメントをおこなうのは難しいでしょう。
どのようにリスクマネジメントをおこなえばよいのか、この記事で紹介している事例を参考にしてみてください。
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