防災マニュアルの作り方|内容の考え方とコツ

「防災マニュアルの作り方がわからない」

「防災マニュアルを作りたいけど何から手をつければ良いのだろう」

このように、防災マニュアルの作り方について悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。

災害時の行動方針を示す防災マニュアルは、企業にとって重要です。しかし、いざ作ろうと作成方法を検索しても、情報が多く困惑するでしょう。

そこで、この記事では防災マニュアルの作り方についてまとめました。この記事を読んだあとは、防災マニュアルに必要な内容を考え、作成できるようになります。

記事後半では防災マニュアルを作成するコツについても解説するので、ぜひ最後までごらんください。

防災マニュアルの基礎知識については、企業の防災マニュアル|重要性を理解して活用するで詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

目次

企業における防災マニュアルの作り方

企業における防災マニュアルの作り方は、以下の3ステップです。

  1. ハザードマップを確認
  2. 記載内容を考える
  3. 文章を短くしてまとめる

最初にハザードマップで、災害のリスクを確認します。企業のある場所にどのような災害が起こりうるかを、想定するためです。確認する場所は、本社だけではありません。事業所や工場、店舗など、関係のある場所はすべて確認し、災害時のリスクをイメージしましょう。場所によって津波や河川の氾濫など、様々なリスクが考えられます。

実際の災害をイメージして防災マニュアルを作成することで、より具体的な内容の防災マニュアルを作れるのです。

ハザードマップは、以下をごらんください。

ハザードマップポータルサイト

起こりうる災害やリスクを確認したら、防災マニュアルの内容を考えます(内容の考え方については、次項で説明します)。

そして、考えた防災マニュアルの内容をわかりやすくまとめて完成です。まとめる際は、文章を短くしてイラストや写真などを活用します。災害時は、防災マニュアルをじっくり読む状況にない場合がほとんどです。ぱっと見で誰が見てもわかりやすいようなマニュアルを目指しましょう。

防災マニュアルの作成例|ポイントをおさえて活用するでは防災マニュアルの作成例について詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

防災マニュアルに記載する内容の考え方

防災マニュアルには、以下を記載する必要があります。

  • 災害時の役割分担
  • 情報収集手段と伝達方法
  • 緊急連絡網の作成
  • 初期対応と避難経路

防災マニュアルを作るうえで、記載内容を考えるのは肝心な作業です。ここからは、防災マニュアルに記載する内容の考え方を解説します。

災害時の役割分担

企業における防災マニュアルには、災害対策本部や個人の役割といった災害時の役割分担を記載する必要があります。災害時に慌てず、ひとりひとりが責任をもって行動するためです。防災マニュアルを作る際に役割を考えて事前に共有することで、もしもの際に落ち着いて対応ができます。

決めるべき役割を、以下の表にまとめました。

<災害時の役割分担>

役割内容
リーダー全体を統括して、現場で指揮をとる。
情報連絡担当災害に関する情報を集めて、伝達をおこなう。伝達は従業員間の他、消防署などの防災関連機関を含む。
消火担当初期消火をおこなう。延焼防止にも取り組む。
救護担当負傷者の救出や応急手当にあたる。医療機関への連絡もおこなう。
避難誘導担当避難経路や建物の安全確認をおこなう。
社員対応担当安否確認や物資の配給などをおこなう。簡易トイレの設置や衛生管理等なども、場合に応じて担当する。

上記の表は一例ですので、企業や事業所に応じて必要な担当を加えたり、細分化したりするのをおすすめします。

リーダーのように統括する人を複数選出する場合、住まいが会社の近くにある人を1人は入れておきましょう。公共交通機関や自動車で通勤している人は、災害時に交通機関が麻痺して出社できない可能性があるためです。

あらゆる場面を想定して、企業に合わせた防災マニュアルを作成しましょう。

情報収集手段と伝達方法

企業における防災マニュアルには、情報収集手段と伝達方法を記載する必要があります。災害時には混乱が起き、不確かな情報も流出するためです。

例えば、災害時には以下の情報が必要とされます。

  • 企業の災害状況
  • 周辺地域の被害状況
  • 交通機関や道路の状況

企業や周辺地域の状態を把握して、どのように行動するか決めます。たくさんの情報が錯綜するなか正しい情報を取捨選択して伝達するために、事前の取り決めが大切なのです。

情報収集の手段には、テレビラジオインターネットなどがあります。その他、防災行政無線消防救急無線も活用しましょう。

リアルタイムで災害状況を確認するには、国土交通省の防災情報提供センターが役立ちます。よろしければ、お役立てください。

国土交通省:防災情報提供センター

情報収集には、従業員の安否確認災害対策本部からの情報伝達も含まれます。通信環境が混乱した場合も考え、オフラインでできるサービスも検討しましょう。

緊急連絡網の作成

企業における防災マニュアルには、緊急連絡網を記載する必要があります。災害がいつ起こるのかは、誰にも予想できません。会社にいる時に災害が起こるとは限らないのです。

災害時に会社にいない従業員の安否確認情報や、防災対策本部からの指示を伝えるために、緊急連絡網を作成します。連絡方法連絡経路を、防災マニュアルに記載しましょう。

連絡経路は、部署ごとにグループを作成する方法がおすすめです。ひとつのグループは、5人以内にとどめておきましょう。グループにはリーダーや副リーダーを配置し、本部と連絡をとるようにします。

連絡先の変更で災害時に使えないことがないように、緊急連絡網は定期的に確認するよう心がけましょう。

初期対応と避難経路

企業における防災マニュアルには、初期対応と避難経路を記載する必要があります。

災害時に大切なのは、何よりも従業員の命を守ることです。従業員の安全を確保するために、初期対応と避難経路を記載する必要があります。

具体的には、以下の内容を記載します。

  • 消防・警察への連絡方法
  • 初期消火と延焼防止の方法
  • 負傷者の応急処置方法
  • 緊急避難経路
  • 避難場所
  • 帰宅困難者への対策

災害時の初期対応や避難経路は、従業員と共有するのが大切です。防災マニュアルを

日頃から見てもらえるように、社内掲示板に掲載したり小さなサイズにしたり工夫しましょう。

災害時の初期対応については、災害時の初期行動|対応方法を考えてその時に備えるの記事で詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

企業の防災マニュアルを作るコツ

企業における防災マニュアルを作るコツは、以下です。

  • 企業に合わせた内容にする
  • 誰が見てもわかりやすくまとめる
  • 定期的な見直しをおこなう

それぞれ詳しく解説するので、よろしければご参考ください。

企業に合わせた内容にする

企業における防災マニュアルを作るコツ1つ目は、企業に合わせた内容にすることです。

防災マニュアルを公開している自治体などは多くありますが、考えることを止め、そのまま使用するのはおすすめしません。なぜなら、企業に応じて必要な対策は違うためです。

「何も災害対策をしていないので、とりあえず防災マニュアルだけ準備したい」という場合もあるかもしれません。そのような場合でも、導入した後は見直して企業に合わせた内容に更新をしていきましょう。

防災マニュアルは、作成する過程で災害について深く考え、自分事にしていくことにも意味があります。災害をイメージし、もしもの際にどのような動きをするのかを考えましょう。

災害後の事業復旧のためには、BCPの策定をおすすめします。BCP策定の重要性とは?初めてでもわかる策定手順とメリットで詳しく解説しているので、よろしければご参考ください。

誰が見てもわかりやすくまとめる

企業における防災マニュアルを作るコツ2つ目は、誰が見てもわかりやすくまとめることです。

防災マニュアルが1番必要とされる災害時は、混乱した状況だと予想できます。落ち着いて防災マニュアルを読めない状況でも内容を理解して行動するためには、誰が見てもわかりやすくまとめるのが大切なのです。

わかりやすくまとめるには、以下の方法があります。

  • 文章を短くする
  • イラストや写真を活用する
  • 項目は7つまでにまとめる
  • チェックリストを取り入れる

項目を7つまでにするのは、人間が一度に把握できる情報数の限界が7つだと言われているためです。

上記を取り入れ活用しているのが、消防庁のポケットマニュアルです。以下に記載しますので、よろしければご参考ください。

消防庁:防火管理ポケットマニュアル

必要な情報をわかりやすくまとめ、視覚的に理解できる防災マニュアルを作りましょう。

わかりやすい防災マニュアルを作るために|参考サイト一覧ではわかりやすい防災マニュアルについて詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

定期的な見直しをおこなう

企業における防災マニュアルを作るコツ3つ目は、定期的な見直しをおこなうことです。

防災マニュアルは作成するのに労力を要するため、一度作ってそのまま使い続けたいと思う企業も多いかもしれません。しかしながら、世の中や企業の状況によって、必要な対策は変化します。もしもの際に慌てないためにも、その時に応じた防災マニュアルが必要なのです。

防災マニュアルの見直しを忘れないために、タイミングを決めておくのをおすすめします。例えば、防災訓練の後が良いでしょう。

防災訓練で足りなかったと思う内容を記憶が新しいうちに補えば、より最適な防災マニュアルに更新していけます。

更新した防災マニュアルは、その都度従業員へ周知しましょう。防災への理解を深めることで、より身近に感じてもらえます。

もしもに役立つ防災訓練|災害に強い企業を目指すでは防災訓練について詳しく解説していますので、よろしければお役立てください。

企業における防災マニュアルの作り方まとめ

今回は、企業における防災マニュアルについて紹介しました。

防災マニュアルは、起こりうる災害をイメージして対処法を決め、まとめることで完成します。防災マニュアルに記載する内容を考えるのは大変な作業ですが、作成する過程で災害について深く考え、自分事にしていくことにも意味があります。

災害時の役割分担や情報収集手段などを事前にマニュアル化して、もしもの際に慌てないようにするのが大切です。

災害時の初期対応は従業員の命を守ることにつながるので、防災マニュアルを作成したら防災訓練を実施し、周知に努めましょう。

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