災害の被害に備える|実例・想定を知り対応できる体勢を整える

「過去の災害ではどのような被害が起きたのだろう」

「災害時に想定される被害を知りたい」

「災害被害に合わせて減災対策を検討すべき」

このように災害時の被害を知り、減災対策に努めたいと考えている企業は多いのではないでしょうか。

減災の取り組みを始めたくても、想定される被害がわからなければ何を準備すれば良いかわからず悩んでしまうでしょう。

この記事では、災害被害の実例や想定について紹介します。

被害を最小限にするための行動や減災対策も紹介するので、この記事を読んだあとは、実際の被害を想定した対策を考えられるようになります。

企業の防災・減災対策について悩んでいる方に向けて、記事後半では復旧活動をする場合の流れも説明しますのでお役立ていただけますと幸いです。

目次

災害の実例と想定被害

自然災害には地震や豪雨、火災など様々なものがあり、人や企業に及ぼす被害は地域や状況によって異なります。防災対策をしようと思っても、過去の災害を知らなければ想像しづらく、どのように対策をすれば良いか悩んでしまうでしょう。

ここからは、実例をふまえながら想定される被害や企業に及ぼす影響について紹介します。

災害被害の実例

令和4年の3月16日に起きた福島県沖地震では、震度6強の揺れが宮城県と福島県を襲いました。震度5以上の地震は、岩手県や山形県などの東北地方に留まらず、茨城県や栃木県、新潟県といった関東甲信越地方にまで及んでいます。

福島県沖地震の際は、アスファルトの亀裂や歩道ブロックが破損し、住宅などの火災が12件発生。地震による最大断水戸数は44,958戸にまでのぼりました。

交通にも影響を及ぼし、在来線や新幹線のほとんどが運転を見合わせに。特に東北新幹線の東京発仙台行の列車では脱線事故が発生する事態となりました。

もちろん、被害が起こるのは地震だけではありません。

例えば、豪雨災害。令和2年の7月豪雨では、活動が活発な梅雨前線が停滞し、西日本や東日本に大きな被害をもたらしたのです。

豪雨によって大河川の氾濫が相次ぎ、土砂被害や低地の浸水が発生。停電や断水も次々と起こり、ライフラインにも大きな被害を及ぼしました。

水害の被害や海外の災害事例については、日本の水害被害とは|水害が起きたらどうなるか過去事例から学ぶ海外の災害事例|過去の災害を知り今に活かすの記事でまとめています。よろしければごらんください。

想定される災害被害

災害により、想定される被害は異なります。台風や大雪、地震について、想定される被害を以下にまとめました。

台風による災害被害

台風による災害被害は、以下が想定されます。

  • 川の氾濫
  • 土石流
  • がけ崩れ
  • 地すべり
  • 道路や住宅の浸水

大雪による災害被害

大雪による災害被害は、以下が想定されます。

  • 雪崩
  • 除雪中の転落事故
  • 吹雪による視界不良や路面凍結で起きる交通事故
  • 雪道の歩行中に起きる転倒事故

地震による災害被害

地震による災害被害は、以下が想定されます。

  • 建物の崩壊
  • 火災の発生
  • 土砂崩れ
  • 津波
  • 液状化現象

地震が起きた際は、建物の損壊以外にも別の災害を誘発します。関東大震災では火災旋風が発生し、炎を巻き込んだ竜巻状の渦が広範囲の火災を引き起こしました。東日本大震災では、東北地方から関東地方にかけて、太平洋沿岸を巨大な津波が襲っています。

地震や津波に関しては地震による津波発生のメカニズム|なぜ起こるのか発生原因を解説で詳しく解説しています。よろしければごらんください。

今後の日本で想定される大型地震

今後、高い確率で発生が予測されている首都直下地震南海トラフ巨大地震では、建物倒壊や津波の被害を予想しています。

直接的な被害の他、電話やインターネットなどの通信関係や、水道や電気、ガスといったライフラインへの影響も否定できません。生活や事業の存続に大きく関わる部分が影響を受けると言われているため、従業員や企業を守る施策に、より真剣に努める必要があると言えます。

首都直下地震や南海トラフ巨大地震は、内閣府のホームページで映像資料を公開中です。

内閣府防災情報のページ:南海トラフ巨大地震、首都直下地震の被害と対策に係る映像資料について

具体的な被害を事前に想定しておくことで、被害に応じた対策をたてられるようになります。より具体的で適切な対策を立てるために、資料を確認しておきましょう。

災害が企業に及ぼす影響

災害は、企業にももちろん大きな被害を及ぼします。

例えば、福島県沖地震では工場が相次いで操業を停止。そして、商業施設は臨時休業や部分営業を余儀なくされました。

トヨタ自動車では取引先の部品メーカーが地震で被災し、国内全14工場28ライン中、17工場26ラインで稼働停止となったそうです。

災害が起きると事務所や店舗、工場などの建物が損壊するだけでなく、商品や原材料などの在庫が破損する可能性があります。

さらには、自社に被害がなくとも、被害を受けた販売先や受注先との取引が中断する場合もあるのです。

災害で被害を最小限にするための行動

これまでの教訓を活かし、私たちはどのように災害に対応するか考えなくてはなりません。ここからは、災害の被害を最小限にするための行動を、地震災害を例に紹介します。

鍵を握る災害時の初動対応

地震が発生したら、まずは自分と従業員の身の安全を確保します。

例えば、従業員に落ち着くよう声かけし、机の下に隠れるなどして頭や体を保護する行動を促しましょう。

そして、状況を確認した後に人命救助にあたり必要に応じて初期消火にあたります。

災害時の初動対応は命を守るだけでなく、事業復旧にも大きな影響を及ぼします。日頃から、いつ何が起きてもいいように、災害時を想定した訓練をしておく必要があるのです。

災害時の初期行動については、災害時の初期行動|対応方法を考えてその時に備えるの記事で詳しく解説しています。よろしければ、お役立てください。

確かな情報収集

災害で被害を受けた際は、正しい情報を得たうえでの行動が大切です。近年はテレビやラジオの他SNSが普及し、情報が多い反面、真実を見分けるのが難しくなってきています。

例えば、2018年の大阪北部地震では「京阪電車が脱線した」「しまうまが脱走した」など間違った情報が飛び交いました。

混乱した状況下で情報の真偽を見極めるポイントは、発信源です。公的機関など信憑性の高い情報源から発信されているかを確認しましょう。

災害時には、国土交通省が提供する以下のホームページが役立ちます。

災害被害を軽減するために大切な減災対策

水

災害は自然に発生するため、私たちが止めることはできません。私たちが今できることは『減災対策』の徹底です。

ここからは、減災対策について紹介します。

企業としての防災

災害時の被害を軽減し、その後も活動していくために大切なのが準備です。

例えば、災害対策チームを選出して、備蓄品の準備や従業員を含めた避難訓練を実施します。企業全体で取り組み、日頃から防災意識を高く持てるようにするのです。

もしもに備えて訓練し、慌てず行動できるようにしましょう。

企業防災の備蓄品|もしもにそなえてできることもしもに役立つ防災訓練|災害に強い企業を目指すでは防災の準備について詳しく解説しています。よろしければ、お役立てください。

リスクの管理

災害の被害を軽減するためには、リスクマネジメントも大切です。リスクマネジメントとは、想定されるリスクを管理し、リスクによって発生する損失の回避や低減を図るための取り組みをすることです。

リスクマネジメントをおこなうと、事業存続が困難になるほどの危機を回避、もしくは最小にすることができます。

リスクマネジメントについては、リスクマネジメントとは?わかりやすく解説!具体的な取り組み手法も紹介で詳しく解説しています。

なかでも、災害後を見越した事業計画をたてることが重要です。2005年に公表された『事業継続ガイドライン』では、内閣府がBCPと呼ばれる災害後も事業を継続するための計画の策定を強く推奨しています。

BCPについては、BCP策定の重要性とは?初めてでもわかる策定手順とメリットで詳しく解説しています。

災害に対し備えることはもちろん、被害を受けてどう復旧するかまでを考えておく必要があるのです。

災害被害からの復旧

災害の被害から復旧活動をする場合は、優先順位を決めて取り掛かりましょう。災害時は様々なものが不足し、限られた状況下で復旧対応をしないといけません。

100%の復旧を目指すのは素晴らしいことですが、まずはいつまでにどの程度の復旧をおこなうのか最低限の目安を決めましょう

復旧に必要な資金は、国の補助金制度や任意の保険金を活用します。

災害時に申請できる補助金については、災害時における補助金の種類|被災した後について考えるの記事で詳しく解説しています。よろしければ、ごらんください。

保険金申請後の税金の取り扱いは、災害時の保険金取り扱い|税金や会計処理の方法を理解して備えるの記事が役立ちます。よろしければ、ご活用ください。

保険金申請後の税金の取り扱いは、災害時の保険金取り扱い|税金や会計処理の方法を理解して備えるが役立ちます。よろしければ、ご活用ください。

災害の被害のまとめ

今回は災害の実例や想定被害について紹介しました。

自然災害には地震や豪雨、火災など様々なものがあり、被害は状況によって異なります。被災時には企業にも大きな影響があり、事務所や店舗といった建物が損壊するだけでなく、商品や原材料などの棚卸在庫が被害を受けることも。さらには、販売先や受注先との取引が中断するケースも想定しなくてはいけません。

しかしながら、災害の種類に応じた想定をすることで、より具体的な防災対策を講じることが可能です。災害対策チームの選出や備蓄品の準備など、日頃から災害を想定して準備をしておきましょう。

防災対策は、災害時の準備だけでなく、復旧時のことも見据える必要があります。リスク管理をしていざという時に備えて準備しましょう。

災害時には従業員と会社を守るための初動対応と、正確な情報収集が大切です。情報源を確認して、適切な行動を取れるようにしましょう。

災害後は優先順位を決めて復旧活動をおこないます。必要な資金は国の補助金制度や任意保険の保険金を活用してください。

減災対策は、取り掛かろうと思った時がタイミングです。災害後の被害について知った今、行動できるお役に立てましたら幸いです。

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