災害時の初期行動|対応方法を考えてその時に備える

「災害が起きたらどのような初期行動をすればいいのだろう」

「もしもに備えて企業における災害時の初期対応を考えておきたい」

「BCPを速やかに実施するにはどのような初期対応を考えるべき?」

このように災害時の初期行動について悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。

実は、災害時の初期行動は復旧活動にも大きな影響を及ぼすので、事前に理解し備えておくことが重要です。

この記事では、災害が起きた際の初期行動について紹介します。

この記事を読んだあとは、災害時の初期行動について理解し、企業としてどのように行動すべきか考え、実行できるようになります。

この記事が、あなたや従業員、企業の命を守る行動につながれば幸いです。

災害の被害について知りたい方は、災害の被害に備える|実例・想定を知り対応できる体勢を整えるの記事で詳しく解説しています。よろしければごらんください。

目次

災害時にすべき5つの初期行動

災害が起きた際の初期行動は、きわめて重要です。初期行動によって被害状況が左右され、その後の復旧活動にまで影響を及ぼします。

ここからは、災害時の初期行動を以下5つにわけて解説します。

  1. 安全確保(避難誘導)
  2. 状況確認(初期消火・人命救助)
  3. 安否確認
  4. 緊急災害対策本部の設置
  5. 帰宅対応

それぞれ解説するので、よろしければお役立てください。

1.安全の確保(避難誘導)

災害時は、従業員や来客者などの身の安全確保が最優先です。その場にいる人々に落ち着くよう伝え、落下物や転倒物から頭を守るよう指示してください。

具体的には『机の下へ隠れる』『ヘルメットや鞄などで頭を保護する』ことを伝えましょう。頭を守れる場所やものがない場合は、頑丈な壁や太い柱付近に逃げるよう指示します。

その後、所定の安全な場所へと避難誘導しましょう。建物の耐震性が高い場合は、屋内に留まる判断も必要です。誘導の際も、落ち着いて行動するように声かけをします。

2.状況確認(初期消火・人命救助)

災害直後から少し落ち着いたら、状況確認をおこないます。火災が発生していれば、初期消火が必要です。消火器や消火栓を用いて消火活動にあたり、場合に応じて消防署へ連絡します。

負傷者がいないか確認し、人命救助もおこないます。 応急救護をほどこし、場合に応じて医療機関へ搬送しましょう。

従業員の安全や2次災害を防ぐために、工場などは機器の停止が必要な場合もあります。緊急停止の手順などは周知しておくと安心です。

3.安否確認

職場・事業所単位で人的被害状況を確認し把握するために、安否確認も必要です。安否確認をおこなう際は、在宅中や出張中の従業員へも連絡をしましょう。

安否確認は、従業員だけでなく家族までおこないます。家族の安否が確認できると、従業員の安心につながり、現場に残って復旧活動に参加する人数が増えるためです。

連絡方法は、普段使い慣れている電話やメールで十分と考える人も多いですが、災害時は通信が麻痺してつながりにくくなることも。連絡手段が機能しない場合を想定し、事前に安否確認サービスの導入を検討すると良いでしょう。

来客のある企業や店舗では、来客者の安否確認も大切です。今後の信用につながり復旧後にも影響を与えるため、気を配るよう心がけます。

4.緊急災害対策本部の設置

災害後は、緊急災害対策本部を設置して本格的に災害対応を始めます。

基準や選出従業員などを、あらかじめ明確に決めておきましょう。場合によっては選出した従業員が被害を受けることも考えられるため、複数の代行者を選んでおきます

緊急災害対策本部を設置しても、機能しなければ意味がありません。定期的な訓練を実施し、各従業員に対応を普及させるのが重要です。

5.帰宅対応

災害直後から落ち着いたら、従業員の帰宅指示をおこないます。市街地の被災状況や交通情報、道路事情を伝え、遠距離通勤者から帰宅指示を出しましょう。

場合によっては、交通機関が麻痺して復旧しないことも考えられます。無理に帰宅すると被害を受けたり、人命救助の妨げになったりするリスクがあるため、必要に応じて安全な場所で1泊するよう促しましょう。

内閣府が発表する『大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン』では、人命救助が落ち着く災害発生後の3日程度、企業は従業員の一斉帰宅を抑制するよう推奨しています。

被災者の生存率が著しく低下することから、災害時は72時間以内の救助を目標としているためです。

いざという時に備えて、災害時における従業員の帰宅取扱の目安を定めておくと良いでしょう。段階的な帰宅をすることで、ある程度の混乱は避けられます。

災害時の初期行動は命を守る

線路

災害時の初期行動は、命を守ることにつながります。初期行動の良し悪しで、従業員や来客者の一生を左右するのです。

災害時には不測の事態がたくさん起こります。そのような状態下で、予備知識なしに正確な情報収集をして適切な行動をするのは困難です。それどころか、誤った判断によって被害が拡大してしまうおそれもあります。

私たちは、いつ何が起きてもいいように、災害時を想定して初期行動を考えて備え、訓練しておく必要があるのです。

また、災害時の初期行動は、事業復旧の際にも大きな影響を及ぼします。災害時に落ち着いて初期行動を取って被害を抑えられると、その後の対応もスムーズになるのです。

災害後の補助金については、災害時における補助金の種類|被災した後について考えるの記事で詳しく解説しています。よろしければお役立てください。

災害による保険金を受け取った際は、こちらの記事が役立ちます。よろしければごらんください。

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災害時の初期行動が復旧活動にも影響を及ぼす

会議中

災害時の初期行動で命を守ったら、次は復旧活動に目を向けなくてはなりません。災害後の復旧活動への対策については、BCPの策定を推奨しています。

BCPはBusiness Continuity Planningの略で、災害などの緊急事態における事業継続計画のこと。自然災害などの危機的な状況に陥った際に、被害を最小限に抑えて業務を継続し、早期復旧を図るためのものです。

2005年に公表された『事業継続ガイドライン』でも、内閣府がBCP策定を強く推奨しています。

BCPが適切に実施できるかは、今回紹介した初期行動が要となります。例えば、従業員の安否確認が不十分だと、事業復旧の動員人数も把握できません。

災害時の初期行動が、その後の復旧活動にも大きな影響を及ぼすのです。

BCPについてはBCP策定の重要性とは?初めてでもわかる策定手順とメリットで詳しく解説しています。よろしければお役立てください。

災害時の初期行動まとめ

今回は、災害時の初期行動について紹介しました。

災害時は冷静に行動し、まずは従業員や来客者の安全確保を最優先しましょう。落ち着いたら状況確認をし、必要に応じて初期消火や人命救助にあたります。

その後は緊急災害対策本部を設置し、従業員や企業を守る行動にうつります。何かあってもいいように、選出従業員は複数名選んでおきましょう。

災害後は従業員を守り人命救助の妨げとならないためにも、一斉帰宅は避け段階的な帰宅を促します。

災害時の適切な初期行動は、命を守るだけでなくその後の復旧活動にも影響を及ぼします。災害時に落ち着いて初期行動を取ることが、BCPを速やかに実施する鍵となるためです。

「もし災害が今起きたら…」と想定し、災害時の初期行動はしっかりと考えておきましょう。そして、周知をすすめ、従業員と共有しておくのが大切です。

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